年商10億円以上に最適なECパッケージは?|システム比較

年商10億円以上の企業となると、ECシステムもASPサービスではなく、大手のECパッケージベンダーの導入を検討することでしょう。筆者も個人的にはASPサービスは昨今、機能が拡張されており、おすすめしておりますが、とはいえ年商10億円を超えると、ECのフロント回りだけでなく、システム連携や企業個別のカスタマイズが必要だからです。

筆者は、ECサイトのコンサルティングを10年以上やってきた経験から、年商10億円を超える企業が導入すべき、ECパッケージベンダー6社を紹介いたします。

本日紹介する大手6社は、日本を代表する企業の導入事例がありますので、安心して仕事を依頼できるでしょう。ただ、その中でも筆者の独断と偏見の比較ランキングでご紹介いたします。

大手ECパッケージ会社比較ランキング

ECコンサルタントである筆者の比較ランキングは以下のとおりです。一社ずつ解説を読んでいただければと思います。

1位 ecbeing
2位 ebisumart
3位 SI Web Shopping(システムインテグレーター)
4位 コマース21
5位 EC-Orange(イーシーオレンジ)
6位 COMPANY EC Series(ワークスアプリケーションズ)

1位 ecbeing(イーシービーング)

ecbeingのメリット

✔900サイトの導入実績は業界ナンバーワン
✔トラブルの少ない安定したシステム
✔マーケティングのコンサルティングに力を入れている

ecbeingは、ECパッケージベンダーで最も有名な会社ですし、導入実績のナンバーワンです。また大きなトラブルになったという話も、業界ではあまり聞きませんので、EC担当者としては導入を検討するのにありがたい会社です。昨今はビジネスモデルを変更させており、昔は導入後の保守で、料金をとっていくイメージでしたが、この数年は保守にプラスしてマーケティングのコンサルティング支援も行っております。

マーケティングを担当する社員は80名いると聞きましたから、結構な力の入れようです。

ecbeingのデメリット

✔導入後のカスタマイズ費用が高め
✔ASPではないため、ECシステムが古くなる

ecbeingは導入後のカスタマイズや改修が必要になったとき、ちょっとした改修でも100万近くの金額が動きます。この辺がASPに慣れている担当者だと戸惑うポイントかもしれません。

そして、ASPサービスと決定的に異なるのがシステム導入後の3年から5年でシステムの入れ替えが発生することです。ASPサービスはクラウド環境なので、自動的にシステムが更新されるので、この点を心配する必要がありませんでしたが、ECパッケージはこの点を考慮する必要があります。

ecbeingについて

メリット・デメリットありますが、ecbeingは営業社員も熱意があり優秀です。ASPからステップアップを検討する企業は声をかけてみるとよいでしょう。ただ安くはありませんので、その辺も念頭にいれてください。

ecbeingについては以前の記事で詳細に書きましたので下記をご覧ください。

特集記事:ecbeingの評判は?【大手ECパッケージ】

2位 ebisumart(えびすマート)

ebisumartのメリット

✔クラウドECパッケージのため、ASPサービスと同様にシステムが古くならない。
✔クラウドECのためサーバーを用意する必要がない
✔システム連携やカスタマイズが可能

エビスマートを2位としたのは、ECパッケージ大手ベンダーで唯一(私の知る限りですが)ASPサービスのようにシステムが古くならないECパッケージベンダーだからです。そのメリットは大きく、一度システムを入れると、二度と新しいシステムを入れなくていいからです。減価償却の観点からもメリットが大きいです。

またパッケージでありながら、標準機能が無料で追加されていくのも、まるでASPのようです。それでASPサービスと違って、カスタマイズやシステム連携が可能ですから、この業界では面白いECシステムです。

ebisumartのデメリット

✔導入実績が300社程度と、ほかのベンダーに比べると少ない。
✔ソースコードを開示していない
✔そもそもクラウドシステムと相性が悪い企業には導入不可能

今日紹介する大手パッケージ会社の中では、導入実績が少ない方なので、その辺はまだまだ、これからの企業という感じです。大手企業は実績を重要視するので、この辺は不安材料かもしれません。久しぶりにebisumartのホームページをみると、スクエアエニックスやITOYAなども導入しており、今後導入する企業は増えるかもしれません。

また、オンプレミスでシステムを構築する企業にはebisumartは向いていないかもしれません。その理由は、サーバーなどはすべてebisumart側で持ちますし、ソースコードは開示しておりません。こういったところはクラウド環境を嫌がる企業には、そもそもebisumartは向いていないですね。

ebisumartについて

ebisumartは、これからの会社という感じですがECシステムとしては、非常にユニークです。他の大手と一緒に検討してみる価値はあると思います。ebisumartについては以前記事を書いたので下記をご覧ください。

特集記事:ebisumart(えびすマート)の評判【中・大規模EC向きのクラウドEC】

3位 SI Web Shopping(システムインテグレーター)

SI Web Shoppingのメリット

✔超大手企業も導入するシステム
✔コールセンターとの連携実績
✔ソースコードを開示している

富士通などの超大手SIerが使っているECパッケージシステムで、その歴史は日本で最初のECパッケージシステムとシステムインテグレーター社は語っており、実績も抜群です。そして運営元のシステムインテグレーターは上場企業ですから、実績重視の企業には、相性がいいです。

業界的にはコールセンターシステムとの相性がいいとの評判であり、コールセンターのシステム連携などを視野にいれている企業であれば検討の価値があります。

そして、ソースコードの開示です。オンプレミスで自らシステムの保守・開発したい企業にとっては、ソースコードを開示しているSI Web Shoppingは相性がいいです

SI Web Shoppingのデメリット

✔導入がとても高額
✔カスタマイズ費用が高額
✔システムが古くなる

現在のECシステムマーケットは、ASPサービスやECパッケージ各社が比較的安価で、そのシステムの機能性や拡張性を向上させています。その中で、SI Web Shoppingの値段は高価すぎます。その事はシステムインテグレーター自身も知ってはいますが、大手SIerとのパートナシップの関係からも、独自に値下げは難しい状況です。

SI Web Shoppingについて

予算が十分にある、年商が100億円以上の企業でしたら、実績のあるSI Web Shoppingの導入はEC担当者としては稟議が通りやすいのでEC担当者も安心です。しかし予算のない会社や、ECパッケージ導入の際に複雑なシステム連携やカスタマイズが必要な会社は、費用対効果が悪いです。

SI Web Shoppingについては、以前の記事で取り上げましたので、興味のある方はご覧ください。

特集記事:SI Web Shoppingの評判【システムインテグレーター】

4位 コマース21

コマース21のメリット

✔大手への導入実績
✔ソースコードを開示
✔自社サービスとの連携

コマース21といえば、システムインテグレーターと同様に、大手へのECシステムの導入実績が豊富な企業ですから、大手企業向きのECシステムです。昨今は大手ECシステム市場だけではなく、中規模ECサイト市場も狙っており、中規模企業向けのECパッケージサービスもリリースいたしました。

またコマース21はソースコードを開示しておりますから、自社でシステムのメンテナンスを見たい企業にとってのパッケージ製品としては最適です。そして、レコメンドエンジンからCRMまで自社サービスとして持っているので、単なるECシステムの導入だけでなく、マーケティングやサイト運営までALL in oneのサービスが可能です。

コマース21のデメリット

✔価格が高い
✔経営者の入れ替わりが多かった(現在は安定)
✔システムが古くなる

過去数年、経営者が次々と入れ替わったため、その影響か、コマース21のエンジニアの多くが退職してしまったようです。そのためか、最近は大きな案件を受注した話は業界では聞かないです。TOPが落ち着かない会社は、離職者も多くなってしまう傾向があります。現在の社長は金融機関出身で、経営は安定しています。

また、システムインテグレーターでも説明したましたが、現在のECシステムは、ASPや安価なパッケージシステムも大きく機能を向上させているため、マーケートに対して価格が高すぎます。ただしコマース21はこの点を補うために、短納期、低価格のパッケージシステムの中規模向けパッケージの販売を2015年よりスタートしました。

また、競合他社と同様にパッケージであるためシステムが古くなるのは、避けられません。

コマース21について

大手のECシステムへの導入が多かった、コマース21ですが、中規模向けのパッケージもリリースし、今後のシェア拡大を狙っています。さらにコマース21導入企業へのマーケティング支援にも力をいれているようです。

そしてコマース21といえば、フルスクラッチなみの拡張性が売りです。オンプレミスが必須の企業は導入を検討しましょう。コマース21については以前の記事で取り上げました。

特集記事:コマース21の最近の評判は?【大手の導入実績ナンバー1】

5位 EC-Orange(イーシーオレンジ)

EC-Orangeのメリット

✔Orange-Posとの連携
✔オムニチャネルやO2O案件
✔豊富な実績

EC-Orangeの運営元はエスキュービズムという会社であり、ec-cubeをベースに作られたECパッケージです。EC-OrangeはEC業界では、オムニチャネルやO2O案件の提案力が強い会社として有名です。また営業社員の営業力も強いです。

オムニチャネルやO2Oと強い理由が、エスキュービズムの自社製品のOrange-PosというタブレットPOSです。自社サービスでECシステムからPOSまで連携できますから、オムニチャネル案件では大きな強みを発揮します。また720社への導入実績も、大きいでしょう。

EC-Orangeのデメリット

✔ec-cubeの脆弱性
✔パッケージのためシステムが古くなる

EC-Orangeはベースがec-cubeのため、ec-cubeに大きな障害があった場合、EC-Orangeが対応できません。なぜなら契約時に、そのような文言が実は書かれているのです。これはEC担当者に痛いところです。クライアントとしては、EC-Orangeでもec-cubeでも、どちらのバグでも関係ないのですが、EC-Orange側も、ec-cube本体に大きな問題があった場合、対応が難しいケースが多く、契約時に、「ec-cube本体のバグには対応できない」という趣旨の契約文言が書かれているはずです。

しかし、これは珍しい事ではなく、オープンソースを利用して販売するソフトウェアによくある問題です。セキュリティーにうるさい昨今、オープンソースが流行っていない理由もここにあります。

また、EC-Orangeはパッケージ製品のためシステムが古くなることは避けられません。

EC-Orangeについて

実店舗と連動した、オムニチャネル戦略を行うECサイトは、Orange-Posと連携したECシステム導入を検討するには、大手の中で一番かもしれません。しかしec-cubeベースのパッケージ製品の導入時には、ec-cube本体の脆弱性のリスクを背負える企業でないと向いていないと筆者は考えます。

EC-Orangeについては、過去に記事を書きましたのでご覧ください

特集記事:EC-Orangeの評判は?【ec-cubeベースのパッケージ】

6位 COMPANY EC Series(ワークスアプリケーションズ)

COMPANY EC Seriesのメリット

✔ERPのNo’1のCOMPANYがすでに導入している場合は、連携が容易
✔導入後、新機能が追加される
✔ECからマーケティングまでALL in oneのラインナップ

COMPANYの運営会社はワークスアプリケーションズです。ワークスアプリケーションズは新卒にとても人気のある就職先で、給与や待遇がいいことで知られています。

COMPANYといえば、ERP市場で国内No’1のパッケージ製品であり、そのECシリーズが「COMPANY EC Series」となります。もともとERPのCOMPANYが導入してある場合が、システム連携が容易になります。またCMSやマーケティングをおこなうシリーズも展開しており、ALL in oneが強みです。

また、COMPANY EC Seriesは、「全ての機能を標準機能で」というポリシーの元、導入後も無償アップデートをおこなっているもの、追加カスタマイズがかからないという点も魅力です。

COMPANY EC Seriesのデメリット

✔導入が高額
✔ECシステム単独の導入のメリットが少ない

COMPANY EC Seriesの導入は、すでにERPのCOMPANYが導入されていることが導入の前提(筆者の考えです)となりますから、もしERPのCOMPANYが導入していないのであれば、検討されることはないでしょう。その理由が安くはないからです。また導入後アップデートの不要なオンプレミスのシステムで陳腐化しないことが売りではありますが、標準機能の開発が追い付いていない状況のようです。

COMPANY EC Seriesについて

ECパッケージでありながら、標準機能をどんどん追加していくのは面白いシステムです。しかしやはりCOMPANY EC Series の導入は、ERPシステムが導入されていることが前提になります。なぜならECシステム単体では、高額すぎて他のECパッケージを導入せざる負えないからです。

COMPANY EC Seriesとワークスアプリケーションズについては、過去に記事に書きました。

特集記事:ワークスアプリケーションズの評判【COMPANY EC Series】

ECパッケージの大手6社のまとめ

いかがでしたか?本日は年商10億円以上の会社が導入すべき、おすすめのECパッケージ6社を比較ランキングでご紹介いたしました。本日紹介した企業は一長一短ありますが、大手の企業の導入におすすめのECパッケージです。

本日のランキングは、あくまでECコンサルタントの私個人の独断と偏見によるものです。まずは気になる会社に連絡してみるのはいかがでしょうか?

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