コマース21はECパッケージ業界では、大手導入事例の過去実績はナンバー1の企業です。コマース21のプレスリリースには以下の文言があることから、それを裏付けております。
コマース 21 は、EC 売上高上位 500 社の内、100 位以内の企業数が 12 社。EC 売上高上位 500 社の売上 総額が約 3 兆円、そのうちコマース 21 のクライアントの売上高合計は 3,200 億円超で約 1 割を占めてい ます。
コマース21は大手のECパッケージ会社であり、大型案件の際はが必ず、コンペに顔を出していた企業です。
しかし、コマース21も最近では小中規模向けECのASPサービス「Eストアー」に買収された後に投資ファンドに買収され、昨今は資本関係が落ち着かない印象を受けます。本日は、コマース21の評判や、私の見解を解説いたします。
コマース21のパッケージの機能や特徴
コマース21はソースコードを開示している拡張性豊かなECパッケージで、導入企業も超大手の会社が導入しています。ほかのECパッケージと同様、その拡張性はフルスクラッチと遜色ありません。ちなみにJAVAで開発されております。
コマース21のパッケージは3つあります。
①大規模ECサイト向けパッケージ
②中規模ECサイト向けパッケージ
③ECo2(エコツー)
①大規模ECサイト向けパッケージ
こちらはコマース21の主力パッケージ製品です。大規模ECサイト用として業界では認知されています。ECサイトのフロントまわりから、バックオフィス機能まで、トータルで機能を提供しております。
特長としては
・瞬間的なアクセス増などの高負荷にも耐えうるスケーラビリティ
・常時SSL通信を標準装備
・独自機能の開発や外部システムとの連携など、優れたカスタマイズ性、拡張性に優れる
・各案件に対して深いところまでコンサルしてくれるので、業務効率や売上改善を意識したサイトを構築できる
などがあげられます。
②中規模ECサイト向けパッケージ
コマース21のパッケージは高額です。初期費用で2,000万円以上かかります。しかしそんな課題を受けてでしょうか、2015年に「S5」というシリーズが販売されました。下記プレスリリースをご覧ください。
またS5は、予約販売、セット販売、まとめ買い機能、ギフト機能、再入荷お知らせ機能などの機能を搭載しており、かなりファッションECを意識したパッケージになっているようです。しかし昨今は、コマース21のホームページでは、訴求されておらず、積極的には販売していないようです。
③ECo2(エコツー)
2021年4月6日にリリースされたのが、カスタマイズ可能なSaaSのECプラットフォームのECo2です。
通常、クラウドのシステムはカスタマイズできないのですが、拡張性を担保しながら、クラウドのようなオートスケールのメリットを受けられるシステムです。
この分野は、後で紹介するコマース21のライバルの「エビスマート」がシェアNo1なのですが、ついにコマース21でもカスタマイズクラウドのECを発表してきました。
ただ、この分野のプレイヤー(コマース21やエビスマート、イーシービーング)には、大変な技術力と負荷がかかります。その証拠にイーシービーングからリリースされた「メルカート(カスタマイズできるSaaS)」は、当初よりも勢いがありません。
また、カスタマイズの幅が大きければ、従来のイーシービーングのパッケージを使うなど、制限があります。
2025年11月加筆:このECo2ですが、今は積極的にホームページに掲載しておらず、かといって廃止というリリースも出ていないので、どの程度販売に積極的なのかは未定です。やはりクライドでカスタマイズできるモデルはビジネスモデルが大変でなかなか儲からないのかもしれませんね。
コマース21のECパッケージと連動する製品
コマース21は、単なるECサイト構築だけでなく、コマース21の導入サイトのマーケティングにも力をいれており、SELL-SIDE SOLUTIONと連動する、以下の製品を展開しています。
Commerce21 検索エンジン
ECサイトの商品数が多いと、ユーザーの求める製品を、どのように表示させるかはEC事業者にとっては悩ましい問題です。サイト内検索エンジンはASPなどが販売されていますが、コマース21は自社で開発しています。検索しなくてもヒットしなかった商品の類似語をだすなど、細かいマーケティング要望に応えてくれます。
このような機能は大手では非常に喜ばれます。
Commerce21 レコメンドASPサービス
この製品のみ「ASP」という製品名が冠せられているので「おや?」とおもいましが、レコメンドエンジンで有名な、ナビプラスと提携してOEM的にユーザーに提供しているようです。
Commerce21 モバイルソリューション
とくにフィーチャーフォン対応のオプション製品です。スマートフォンが当たり前の時代になってきましたが、シニア層など、いまだにフィーチャーフォンのアクセスが無視できない業態があります。こういった層をとりこむにも、本体のECサイトと管理画面も共有でき、PC、スマホ、フィーチャーフォンとマルチチャネルで一元管理を実現します。
Commerce21 CRM
ECサイトのアクセス情報、顧客情報を統合し、ビックデータを活用した、プライベートDMPを実現しています。ビックデータからユーザーの行動分析するマーケティング・オートメーションを実現しています。
コマース21を導入した場合の費用感は?

最近、S5という低価格向けのパッケージもありましたが、基本は大規模ECサイト向けですので、ワークスアプリケーションズやシステムインテグレーターと同程度の高額パッケージですので、価格感は安くはありません。
コマース21はAWSを採用!
下記のAWSのリリースによると、コマース21ではAWSが使われていることがわかります。
この資格はカンタンではないため、またAWSを扱うにはAWSの知見がなくてはなりませんが、その点は非常に安心です。さすがは、大規模向けECプラットフォームですね。
コマース21のライバル企業は?
システムインテグレータ(Si Web Shopping)
コマース21と同じく、大手のECパッケージ市場でのシステムインテグレーターが最大のライバルと言えるでしょう。システムインテグレーターのパッケージは「Si Web Shopping」という有名なパッケージです。コマース21が直販メインなのに対して、システムインテグレーターは、パートナー経由での販売がメインです。
コマース21、システムインテグレーターとも、ECサイトの導入費用は数千万円からとなり、安くはありません。
システムインテグレーターの記事はこちら → SI Web Shoppingの評判【システムインテグレーター】
ecbeingやEBISUMART(えびすマート)
今までもコマース21とecbeingやEBISUMARTは競合しておりましたが、コマース21が低価格、低納期用パッケージの「S5」を販売したことから、中規模ECサイトのパッケージとして有名な両社とも、激しく競合します。
S5はアパレルに強いとの事ですが、ecbeingもEBISUMARTも、アパレルの実績は豊富です。
中規模ECサイトのシステムリニューアルなどは、とりあえずこの3社に声をかけてみるのがよいと思います。
ecbeingの記事はこちら → ecbeingの評判は?【大手ECパッケージ】
EBISUMARTの記事はこちら → EBISUMARTの評判【中・大規模EC向きのクラウドEC】
また、エビスマートのカスタマイズできるSaaSという分野にコマース21がECo2でぶつけてきたので、今後この分野でコマース21がシェアがとれるかは注目ですね。
コマース21のまとめ
コマース21は、経営者が次々に入れ替わる時期があり、落ち着かない印象でしたが、2020年現在はEストアーに買収されて、さらに2024年には投資ファンドに買収されて資本関係がバタバタしている印象です。
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今までは大規模ECサイトのパッケージ導入がメインでしたが、現在は中規模ECサイト市場も視野に入れ、さらに、コマース21導入企業へのECのマーケティング機能の提供にも力を入れています。
最後に、コマース21の最大のメリットは?と聞かれれば、それはソースコードを顧客に開示しているため、フルスクラッチ並みの保守運営が可能になることです。オンプレミスが必須の企業で、ECのパッケージを検討するには、よいパッケージだと思います。
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