ecbeingはパッケージ業界で一番有名な大手です。ecbeingは業界人でないと知らないと思いますが、ECサイトの規模感を大きくする時には、必ず選択肢に入るECプラットフォームと言えます。特に年商1億円以上のECサイトや大手企業に多く導入されています。
ecbeingの最大のメリットはなんといっても、そのバグの少ないシステムにあると言えます。その理由は、開発リソースのマネジメントがしっかりしていることが起因していると筆者は考えます。だからこそ、導入実績が豊富なのです。
それだけに、安くはないのがデメリットと言えます。本日は、EC業界のプロの筆者がecbeingについて詳しく解説します。
ecbeingの2023年の流通総額は1兆2,405億円!過去最高額を記録
2024年2月の発表によると、ecbeingの2023年の流通総額が1兆円超えの1兆2,405億円となり、過去最高額を記録したとのことです。前年比で実に25.1%も増加しています。
国内ECプラットフォームでは、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングに次ぐ4位につけています。
様々な業界のECサイトのほか、モールやネットスーパーといった大規模なECサイトの構築といった受注規模の拡大、またBtoBでのDX化が流通総額増加の大きな要因とされています。
さらにecbeing全ユーザーの総受注件数も、2023年は8,359万件を達成!まさに成長著しいプラットフォームです。
ecbeing、2023年流通総額が1兆2405億円を達成 各業界のEC参入、DX化の動きに合わせて実績を大きく伸長
ecbeingはASPですか?パッケージですか?
ecbeingは、大手企業が導入するようなパッケージ製品です。パッケージのソースコードは基本的には開示はしていないようです。
パッケージをベースにカスタマイズして、ECサイトを構築いたします。ecbeingクラスのパッケージ会社になると、基本的にできない実装などはありませんが、システムが陳腐化する問題は避けられません。(ASPではないので、しかたがありません。)
そういった事情から2017年にはシステムが自動更新されるクラウドECのメルカートをリリースいたしました。※メルカートについては後ほど解説します。
ecbeingを導入した場合の価格感は?
下記表の通りです。
価格感 | |
初期費用 | 500万円から数千万円、数億円 |
月額費用 | 数十万円~ |
追加カスタマイズ費用 | 数十万円~ |
※価格はあくまで筆者の感覚です。詳細はホームページやecbeing社の担当に聞いてみましょう!
大手や年商が1億円以上の企業に向いているパッケージですから安くはありません。しかし実績は1,600社を超え業界ナンバー1です。アパレル業界の大手においても、ecbeing社が導入されております。
ecbeingの特徴や機能は?
ecbeingのような、大手向けのパッケージは、基本どんな機能にも対応しているので、特徴がないのが特徴なのですが、私の経験とホームページの内容をもとに、下記にまとめてみました。
ecbeingの特徴とは?
それでは、長年EC業界にいる筆者がecbeingの特徴を解説します。
国内パッケージではナンバー1と言っても過言ではない
かつては、コマース21やSI WEBショッピングなど、ecbeingよりも規模や大手事例が豊富な会社がいくつも存在していました。しかし、今でもパッケージ業界で昔と変わらず実績を積み上げているのは、この4社の中ではecbeingだけではないでしょうか?
その理由として、コマース21やSI WEBショッピングは、資本構造が変わり、親会社や組織、さらに現場にいたエンジニアや営業メンバーも大きく変わっていると考えられます。
一方で、ecbeingは、現在も豊富な事例を増やし、大きなトラブルもなくECパッケージの最大手としての地位を維持しています。この点を踏まえても、ecbeingが業界のナンバーワンであると言っても過言ではないでしょう。
現在、パッケージ型ではないものの、ebisumartのようなクラウドECや他のECプラットフォームが競争を繰り広げている状況です。
お客様のECサイトのマーケティングに力を入れている
昨今のecbeingはEC導入後のマーケティングに力を入れております。なんと噂では80名を超すマーケティング部隊がおり、お客様のサイトのCV増のためマーケティング施策に力点をおいております。
こうした背景には、ecbeingのビジネスモデルを従来のECを導入して、運用費をもらうビジネスモデルに加えて、マーケティングを行い、そのマーケティング活動費をもらうというビジネスモデルです。
マーケティング活動は、SEOやサイトの提案からABテスト。および各種パートナーのWEB接客ツールの導入など様々です。もちろん広告、各種分析にも力を入れています。
このコンサルティングは、なかなか評判が良く、顧客も満足しているようです。ecbeingクラスになると、数千社の導入実績があり、成功事例を横展開できる強みがあり、この辺は競合他社が真似しづらいポイントです。
安定したECサイトの開発力、トラブルの少なさ
もちろんベースのECサイトの技術力やノウハウも豊富です。ecbeing社であまりトラブルを聞かないのもこのためです。500人の技術者がいるとHPに書いてあります。さすがに500人というのは、外注を含めての数字だと思いますが。
やはりバグを出さないように、テストや内部レビュー工程がしっかりしているのでしょう。
さらに運用支援部隊として200人以上が、サイト制作からマーケティングまでサポートしてくれます。
ひとつの案件に対して開発部隊と運用支援部隊がワンチームとなって取り組んでくれるので、結果としてトラブルも最小限で安心して構築を任せられるのは発注側としても安心ですね。
いろんな専用のecbeingがあるようにみえるが、全て同じecbeing。その理由はマーケティング
次に私が
ecbeing BtoB
ecbeing for Mall
OMOアプリ+
ecbeing Smart+
等々
いろいろ紹介はしますが、
これはおそらく中身はどれも同じだと思います。つまり、ホームページでマーケティングのために「○○専用ecbeing」という見せ方を実施しているのだと思います。
ただ、こういった自社のホームページからもマーケティングのノウハウの高さは伺えますね。
ecbeing BtoB
パッケージ大手で、豊富な実績をもつecbeingですから、BtoBにおいてもそれは同様です。ただし個人的にはBtoBをecbeing社は向いていないと考えます。その理由はコストに見合わないからです。BtoBのECシステムというのは、とにかく会社特有の業務フローやシステム連携が多く、パッケージに多くの手を加える必要があります。
ですから、もともと高額なecbeingはBtoBのシステムには向いていないと思います。(ただし発注すれば確実に要件を仕上げてくれると思います。割り高ですが。)
ecbeing for Mall モール型サイト構築ソフト(ショッピングモール)
大手のecbeingですから、自社で楽天のように出店者を募ってショッピングモールを運営する方法も、Amazonのように商品を出店する方法のどちらにも対応しております。
ショッピングモールを行いたいという企業は、おそらく取引先の企業を大量に抱えていて、それらの取引先の企業を束ねて、WEBのショッピングモールを作りたいというモデルが多いと思いますが、ecbeingでこれらの実装は特に問題がないと思います。(実際にそれが成功するかと言えば、、、エンドユーザーからみれば楽天やAmazonで売買しますから、難しいビジネスモデルです。)
OMOアプリ+
OMOとは(Online Merges with Offline)のことで、つまりオンラインもオフラインも分けて考えるのではなく、マージ(融合)して考える概念のことです。
例えば、ユーザー向けのアプリを開発することで、オンライン上でポイントをつけたものを店舗で使ったり、あるいは店舗のポイントをECサイトでの購入のポイントに割り当てることがで、アプリを使うことでオンラインとオフラインの垣根を超えることができます。
ecbeingのこのプロダクトは、その点にフォーカスした商品です。おそらく導入する企業は、既存の実店舗のデータがあるので、それとの連携となりますから、数千万円~はかかると思われます。
ちなみにGoogleで「OMO」と検索すると1番にecbeingのブログ記事出てきますし、Uberサジェストでecbeingのホームページを調査すると、このブログ記事がecbeingで最もアクセス数が多いようで、ビーングとしては最も力を入れているサービスだと思います。
OMOが必要ということは、お客さんも大手ですかね!
ecbeing Smart+
スマートフォン対応の事です。ecbeingのスマホ対応の特徴は、PC向けに商品登録すれば、自動的にスマホ対応をしてくれるという事です。しかもスマホだけではなく、ガラケーやタブレット端末に対応しており、いわゆるマルチデバイス対応なので、管理が楽です。
ただし、マルチデバイスは、管理が楽な分、ユーザーインターフェースが最適化されてない事があり、筆者の経験ですと、管理が大変ですがマルチデバイス対応より、テンプレートをスマホにはスマホ用と作る方が売上は上がります。
しかし、そういったスマホに最適な画面のユーザービリティーに精通してないとつくれませんので、まずはスマホ対応になっていればよいのかと思います。またGoogleは2016年の6月より、ますますスマホ対応をGoogleのランキングに影響させるとの発表をしていますので、膨大に商品データがある場合はマルチデバイスによるスマホ対応が楽です。
ecbeing CMS
単なるCMS機能と思いましたが、通常のCMSに加えてユーザー一人ひとりにあわせたパーソナラズドの画面を用意できるところが、違うようです。
例えば、ログインした30代男性には「中年男性向けの商品をTOPビジュアルに表示」といった感じで、顧客データベースと連動した取り組みができます。その他会員ランクとの連動も可能です。
ただこういった機能はecbeingオリジナルではなく、今流行りの接客ツールを導入すれば同様の事が可能ですから、あとはコストや、どこまで機能があるかという比較になってきます。
ecbeing CRM
CRMbeingというラインナップとecbeingを組み合わせることで、マーケティングオートメーションのように、お客様一人ひとりにあわせたシナリオを作り、自動的にCRMが行える製品です。
筆者は恥ずかしながら、CRMbeingを知りませんでしたが、さすがマーケティングに力を入れているecbeing社だけあって、マーケティングオートメーション機能を持ち合わせているようです。
ecbeing Campaign
キャンペーンの参加条件を管理画面上で簡単に設定できます。例えば「会員ランクがAランク」の方にキャンペーンや、キャンペーンの対象商品。参加特典などです。またキャンペーン毎に細かく効果測定が可能です。
これらの事からキャンペーンを頻繁に行う会社には、向いている機能です。
オムニチャネル
ecbeingはオムニチャネルの事例も、豊富です。ポイント連携、会員連携や、POS連携により、リアル店舗と実店舗の連携を実現しています。
オムニチャネルのためのシステム統合自体は、ある程度の規模のパッケージ会社なら可能です。しかし実際にホームページに掲載できる事例をいくつももっているのが、強みではないでしょうか?
直近ではスーパーマーケットの「ベイシア」で、アプリとECサイトおよび実店舗の連携によるオムニチャネル施策の実績があります。
また、お客さんの事例をもとにオムニチャネルのセミナーも行っており、実績ベースで裏付けがあります。
ベイシアがアプリとECサイトのシングルサインオンで店舗受取の注文をシームレスに実現
定期販売&単品通販
健康食品や、化粧品、コンタクトレンズなどの定期的にお届けすし、リピーターや新規購買者を増やすのに向いている機能です。
ecbeingは、頒布会や定期販売などのECは苦手な印象ですが、ホームページによると、専用ランディングページも作ったことから、今はそうでもないかもしれません。
ただし、繰り返しますが、ecbeingのシステムは高額ですので、カスタマイズが発生したり、そもそも売上が見込めない小さなビジネスには向いていません。
メルカート(カスタマイズできるクラウドEC)の提供開始を2017年から開始したが。。
2017年に従来のパッケージとは別のラインナップをリリースしました。それがクラウドECのメルカートです。メルカートの特徴は、ASPのようにシステムが自動更新される点です。さらにカスタマイズも可能なので、従来のパッケージの弱点を補ったシステムです。
しかし、大規模ECサイトまで対応しておらず、大規模ECの場合は従来のパッケージを販売し、それよりも規模感の小さいサイトは、メルカートで対応するようです。またメルカートからステップアップで、パッケージに移行することも可能です。
メルカートは間違いなくライバルの「ebisumart」に対抗するために開発された製品ですが、カスタマイズできるクラウドECは「最新性」と「カスタマイズ性」を両立させるには、開発チームに大きな負担が生じ、メルカート開発チームの負荷がかなり大きくなるはずです。
そのためか、昨今はメルカートの訴求はずいぶんと少なくなった印象で、対ebisumartというよりは、開発費用が300万円~程度の小規模案件向きに販売している印象です。メルカートをオープンしてからは、よりメルカート向きのターゲットに戦略を変えてきたのだと思います。
しかも、このカスタマイズできるSaaSのECプラットフォームという分野、昨今ではコマース21が参入して「ECo2(エコ2)」というメルカートと似たような商品がリリースされました。
カスタマイズできるSaaSというコンセプトは良いのですが、それを販売提供するのは、エビスマートのようなそれ一本で行う会社でないと、結構厳しい印象があります。
ecbeingのライバル会社は?
やはり同じECパッケージの会社がライバルになります。
ebisumart(エビスマート)
フルカスタマイズできるASPというイメージでしたが、最近は中・大規模のお客様が増えており、ecbeingとコンペで争うことも多いようです。
ebisumartの記事はこちらから → ebisumartの評判【中・大規模EC向きのクラウドEC】
メルカートが誕生した背景も完全にライバルのebisumartを意識したもののはずです。メルカートとebisumartの差は、大規模ECをクラウドECで構築するとなると、メルカートでは厳しい面があるようです。
また、2020年8月にebisumartがマザーズに上場したこともあり、今までは中・大規模向けのECサイトパッケージ業界では、唯一の上場企業でしたが、ebisumartも上場したため、今後は差別化要因として「唯一の上場企業」というのは使えなくなります。
ebisumartが自社のマーケティング手法で得意だったSEO施策を、この数年ecbeingも実施しており、両者とも激しいシェア争いを繰り広げております。
コマース21
パッケージ業界の大手のコマース21とはライバル関係ですが、コマース21の方がより、大企業向けのECパッケージといえます。またソースコードを開示しているので、オンプレミスが良いという会社はコマース21はおすすめです。
昨今のコマース21はYahoo!グループに買収されたと思ったら、中小企業向けのASPを展開するEストアーに買収されたりと、ふらふらしている印象でしたが、ようやく資本関係が落ち着いたようです。
昔は、ecbeingのライバル会社の一つという印象でしたが、昨今は大きな開発案件を受託したという話を私はあまり聞いたことがありません。ecbeingよりは大手向けのシステム開発がターゲットとなります。
コマース21の記事はこちらから → コマース21の最近の評判は?【大手の導入実績ナンバー1】
最後に
本日はecbeingを紹介いたしました。総評としては
・高額だが、だいたいなんでもできる。
・業界最大手だから、稟議を通しやすい。
・マーケティングに力を入れている。
・カスタマイズ費用が高い。
といったところでしょう。大手事業者がECシステムの導入を検討するには、もってこいの会社ですね。
おすすめ記事!【ECパッケージ徹底比較】年商10億円以上に最適なECパッケージは?